
昨日の稽古、三名の八段揃い踏み。
今日の怪物との稽古は、過去にない悔しさに満ち溢れていた。
なぜかって?
これを御覧の皆さんの中に、『片手半面』を一回の稽古で二発も綺麗に打たれた経験がありますか。
片手半面に来ることは百も承知でしたが、今回はいつもと違う場面でした。
いつもは、構えて打って出ようとした時にぶんと半面が飛んでくるのですが、今回は攻め入ってきたので、
半歩下がり気味に間合いを切ろうとしたところに飛んできました。
あわてて竹刀を立てて受けようとしたのですが、その竹刀ごとかち割られる始末。
同じところを二発。
面金の向こう側に得意気に笑う怪物の顔が。
あまりの衝撃に右脳が目から飛び出しそうでした。
昔の話を聞くと、半面で鼓膜が破れたり、耳から出血したりという事があったらしいです。
おー怖。
怪物の半面を防ぐには方法は一つ。
機と見たら出てしまうのです。
半面を打つときの癖は、それぞれ違うのですが、怪物は手首を肩あたりで返すので、
正面が見えるんです。
それを見ずに打って出る。
見ていたら半面の餌食。
真っ直ぐ、すっ飛んでいく事が一番の防御方法ですね。
そしてもう一つ。
しゃがむ。
空振りを狙うんです。一回も成功した事はありません。
そして、今日の稽古で咲いた一輪の桜。
いつものように面を打ち抜くべく真っ直ぐすっ飛んで行こうとしたら、怪物の剣先が喉にぷすっと刺さった。
ぷすっと刺して、さっと引き抜く、絶妙。
スタンプで押したような鮮やかな桜の花。
喉仏に命中していれば、喉仏粉砕骨折という聞いた事の無い惨事になっていたでしょうか。
あー危ない。
あまりに綺麗なのでパシャリ!
先革の縫い目が綺麗に出ています。
S先生から受けた洗礼。
『お前の剣道は竹刀が振れてない。剣道は竹刀を振ってなんぼやで。』
???????????。
円を描くように振る。
それが大きいか小さいかだけの事。
そう言っていた。
僕の竹刀の軌道は、上から下では無く、刺していくような打ち方だと言う事です。
切らんとあかんのやで、とS先生。
今回は、頭と腹を3回づつ真っ二つに。
先に飛び出しているつもりでも、間合いを見切られているから先生の面が先に届く。
おそらく、下半身の起こりは先生が一瞬早いのだと思う。
それしかない。
手を出した瞬間に『待ってました。』という事でしょうね。
足が先に出ているから、あとは竹刀を小さく早く強く振るだけで良いのでしょう。
僕が頭を差し出しに行っているのだから。
最後はS先生に打ち込み稽古。
面打ち5本をすべていなされるような打ち込み稽古。
久しぶりの感じに少々興奮しましたね。
67~8歳だと思いますが、超人的な面打ちです。
八木八段との二分間の立合い稽古。
立合い稽古の前に怪物が、低段位のもんは開始線の無いところでの九歩の間から蹲踞で合わすのが
下手糞やと注意していたので意識した。
この部分は、八木八段にお願いする時はいつも上手く出来ていると自負している。
なぜなら、目の前に写る八木八段の所作をそのまま真似をすれば良いのだから。
約二分の稽古、怪物が初太刀を大切にしろと言うのでこれも意識する。
八木八段にお願いする時は、必ずここも意識する。
溜めと爆発の面。
先生との稽古で一番勉強させて頂き、自分が成長できる瞬間が初太刀。
毎回同じ立ち上がりでは無いのですが、常に大切に考えているのが、
『機』と『気』。
打つべき機会を作るのか、訪れるのを待つのか。
竹刀の払いや押さえなどの攻防はあまり無いが、気が一番上り調子になっている場面での剣先と間合いの攻防。
剣先を合わせて中心を取り合う。
怖すぎて一回もやったことは無いが、ここで剣先を先革一つ分でも開いたら・・・・死に体になって真っ二つやろうなと思うくらいに中心取りがきつい。
そして、前後の間の取り合い。
一足一刀の間合いになったら近い、蝕刃では遠い、交刃あたりからの相面が一番映える。
お互いの腕が伸び、身体接触無しでうまく抜けきる事が出来れば、教科書通りの相面。
これが審査の初太刀で出来たらポイントはかなり高い。
実際に、八木八段は二次の初太刀でこれを見事にやっておられた。
しかし、今の自分の打ちの強さでは、評価が低いと思います。
相面での体の移動に問題は感じてはいませんが、打突そのものが軽い。
今後の課題は、でばなの瞬間に小さく早く強く打ち込む事。
相手が、タイミングで打たれたと感じるのか、本質的に打突として打たれたと感じるのかの違いを明確に
わかるような打ちをやっていかないと次は難しいと思っています。
今回も三名の八段に大変貴重な課題を頂き、次回は一つでもクリアしたいと思います。
[3回]
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